もしかして先輩が関係してる?
「それってさ、何か関係してることがあるの?」
そう尋ねられて、ドキッとする。
元々、顔が中性的で身長もそこまで高いわけじゃないから可愛いとからかわれることはあって、その度に自分に自信がなくなって、笑うことも嫌になった時期もあった。だから、中学生の頃はマスクをして過ごすこともあって。
姉の助言もあって少しは自分の顔に自信も持てるようになっていたけれど、素のときに自信がつかなければ意味がない。それで、進学するなら絶対に男子校にしようって決めていた。
まさかこんなふうに誰かに可愛いと言われたり、ひとつひとつの言葉にドキドキしたりするなんて思ってもみなかった。
どうして夏樹先輩の言葉にドキドキしてしまうんだろう。
「な、何もないですよ」
慌てて顔を逸らすと、「ふーんそっか」と話は流れる。
ホッと安堵していると、コンコンッとドアがノックされた直後誰かが入ってくる。
誰だろう、と思っていると、「あれ、夏樹じゃん」と先輩のことを知っている風な口ぶりをしていた。
「ほんとに生徒会やってんだな」
「副委員長なんだから当然だろ」
「いやいや、今でも俺信じてねーから」
「なんでだよ」
いつも会長や武田先輩と会話する姿は見ているのに、俺の知らない人と先輩が仲良く話してる姿をはじめて見た。
そのことに少しだけ胸のあたりがざわざわする。
「てか、山﨑は?」
「さあ。どこか行ってるんじゃない」
俺がボーッとしている間にも会話は進み、「ふーん。じゃ、他探してくるわ」と言って早々にいなくなる。
結局今のは誰だったんだろう。
「先輩、今の人って……」
「俺のクラスメイト。で、山﨑と同じ中学だったんだって。それでよく勉強とか教えてもらってるみたいで今も探してたんじゃない」
なんだ、そっか。先輩に会いに来たわけじゃないのか。