生徒会に入っている生徒は競技をするだけじゃない。定期的に校内を見回ったり、備品確認をしたり、常に作業が山積みだ。

「学年対抗だけど、今年は絶対二年が勝つからな!」

 武田先輩は相当やる気みたいだ。

「俺たち一年だって負けませんから!」

 と、千葉くんが反論すると、

「じゃあ勝負だな!」
「分かりました。受けて立ちましょう!」
「それなら賭けしようぜ。負けた方がピザ奢るとか」
「なんですかそれ。仮に俺らが負けたとして、後輩にピザ奢らせるんですか!」
「まだ負けと決まったわけじゃねえだろ? それとももう負け確定か」
「そんなわけありません! その勝負乗りました!」

 あれよあれよと話が進んでいった。

 それを聞いていた俺は思わず苦笑い。

 体格も力も違う二年生に勝てるはずがないんじゃ、と負け越しになっていると、

「……そーいえば夏樹さぁ、この前女といた?」

 突拍子もない言葉が現れて、夏樹先輩は「……は?」と困惑する。

「いやー、なんか俺のクラスのやつがお前のこと駅前で見かけたって言ったんだけど、そんとき女といたって聞いたから」

 固まる夏樹先輩に、武田先輩が言う。

 ……ん? 駅前? それってもしかして──

「なに。夏樹、彼女いたの?」

 会長もびっくりした様子で尋ねる。

「いや、あれは……」

 まさか先輩、俺のことを言ったりしないよね? いや、その前に俺、周りから女の子だと思われてるってことだよな。つまりそれって、デート……

 ──ぶわっと顔が熱くなる。

 その瞬間、「ふはっ」と誰かの笑い声が漏れる。

 見なくても分かる。夏樹先輩の声だ。

「夏樹?」

 ダメだ。今、先輩の方見れない。

「いや、彼女じゃないよ」
「じゃあなんで一緒にいるんだよ」