「もー……鳥羽のアホ」
「ごめんって。だけどさぁ、一度先輩に聞いてみた方がいいと思うけど」
「……聞くって何を?」
「先輩は俺のこと好きなんですかって」
その言葉を聞いて、俺の頭はフリーズする。
「……はああぁぁ?!」
フリーズが溶けた直後、俺は盛大に驚いた。
そのせいでクラスメイトはどうしたどうしたと俺に注目が集まる。
何でもない、と笑って誤魔化したあと、身を縮めるように椅子に座る。
「先輩が言ったことが気になるんでしょ」
「そ、それは……で、でも、本人にわざわざ聞くようなことでもないっていうか」
仮に俺が先輩に聞いたとしても、先輩にとってあの言葉に深い意味はなかったって言われたら、俺が恥ずかしいやつになるし。
「じゃあそのままにするの?」
「いや、だからべつにそういうつもりじゃなくて……」
言い返そうと思った矢先、
「…──矢野くんいるー?」
聞き覚えのある声が廊下から響いて、俺の意識は全てそっちへ注がれた。
えっ、なんで、先輩が……! 今まで教室に現れるとすれば会長くらいだったのに、なんで……