「俺っぽいってなんですか……でも、嬉しいです。ありがとうございます。修学旅行は楽しかったですか?」
「うん、すごく楽しかったよ。いろんな景色も見れたし、おいしいものも食べれたし」
「そうですか。よかったです」

 どうしたんだろう。いつもより少しだけ元気がないように見える。

「先輩は、生徒会室行かないんですか?」
「俺はもう少ししてから戻るよ」

 笑っているはずなのに、肩が落ちている気がする。

「分かりました。会長に伝えておきますね」

 何か様子がおかしい。何でだろう。

 ──『修学旅行が終わったら話したいことがあります』

 もしかして俺が言ったあの言葉が原因?
 先輩、悪い方に考えたりしてる?

 廊下に出ようと思ったが、足を止める。

「先輩、今元気ないですよね」
「俺? いや、元気だよ」
「先輩、笑ってるけどいつも通りには見えないです。それって俺が言った言葉を気にしてるからですか?」
「そんなことないよ。矢野くんの気のせい」
「嘘ですよね。俺だって先輩と一緒にいる時間は長かったので先輩のこと分かるつもりです!」

 かなり待たせてしまった。その上、散々先輩には迷惑をかけたと思う。
 俺は、女の子が好きだ。今でもそうだ。でも、夏樹先輩に告白をされて、先輩のことを考えるようになって、分かったことがある。

「たくさん時間がかかってごめんなさい。もっと早く言えば先輩に迷惑かけなかったのに……」
「だから、べつに矢野くんのせいじゃないって。てか、ちょっと今はあんまり聞きたくないっていうか」

 やっぱり誤解している。だから、先輩は元気がないんだ。

 やっと見つけた、俺の答え。
 夏樹先輩には、ちゃんと伝えたい。