俺たち一年のためにそこまで……

「なにか俺にも手伝えることありますか?」
「大丈夫だよ。ありがとう」

 全部一人で頑張りすぎな気もするけど、これ以上言ってもきっと会長は大丈夫としか言わない気がする。

 ──ガチャッ

「山崎お待たせー……ってあれ矢野くんもいたんだ?」

 急にドアから現れたのは、夏樹先輩。

「あ、はい……」

 久しぶりに会えて少し緊張する。

「遅かったね。先生なんだって?」
「明日提出ってことで掃除免除になった。タケは、字が殴り書きすぎて写したってバレたから今日から一週間、罰として雑用だってさ」
「うわー、それは生徒会にも影響出るね」

 山崎先輩と夏樹先輩は、見た目も雰囲気も全然違うのに、すごく仲良い。

「今日なんかするの?」
「うん、少しだけ。でもまとめるくらいだから夏樹たちは帰って大丈夫だよ」
「山崎は?」
「俺は作業しながら武田のこと待つよ」
「ふーん、そっか」

 夏樹先輩のこと知ってるはずなのに、知らない人みたいに感じるのは、山崎先輩たちと過ごす先輩を知らないから。

「じゃあ矢野くん帰ろう」
「え? でも、会長の手伝いが……」

 来週のためにまとめることがあるって言ってたけれど、一人でほんとに大丈夫かな。

「武田を待ってる間にするくらいだしそんなに大掛かりなことじゃないから、矢野くん気にしなくて大丈夫だよ。二人とも気をつけて帰りなね」

 俺たちに向かって手を振る会長。

 もしかして俺が気を使わないようにしてくれた?

「あ、えと、じゃあお先に失礼します!」
「うん、また明日」

 会長は、優しく微笑んだ。

 俺と夏樹先輩は生徒会室をあとにすると、駅まで一緒に歩く。

「先輩、課題家に忘れたんですね」
「もしかして山崎に聞いた?」
「あ、はい」
「昨日の夜少しまだ終わってないのあってさ、それで勉強してたら机の上に忘れたままになっちゃって」

 夏樹先輩としゃべるのは、大晦日の電話以来。