彼の言葉に驚いて周りを見ると、皆笑ってお菓子等を並べている。看板やテーブル、冷蔵庫等の設置も完了していて、もうやることはほとんどなさそうだ。
「ご、ごめん。あんまり手伝えなくて」
今度は夕夏が謝る。すると近くにいた友人は首を横に振ってジュースを持ってきた。
「七瀬は企画の方を先に考えてくれたじゃん。須賀も食材の発注とかしてくれたし。充分仕事したよ」
優しい言葉と、笑顔。俺はもちろん、夕夏も照れくさそうに頷いた。

「じゃー最後の文化祭! 明日は全力で楽しもう!」
「おっしゃ! カンパーイ!」

友人の掛け声で、皆で打ち上げをした。普通は全部終わった記念にやると思うんだけど、今日までかなり頑張った慰労会みたいなもんだ。
明日使う教室だっていうのにお菓子をこぼして、皆好き放題に暴れている。先生に見つかったら怒られそうだ。
でも、今日ぐらいは仕方ない。ってことにしよう!

「夕夏。おつかれさま!」
「疲れてないけどな。お前もおつかれさま」

軽くコップを当てて、密かに乾杯する。
学校の行事はこうして迎え、そして過ぎていく。

どんなに嫌がっても終わりが来るから、せめて後悔しないように全力で挑みたい。この楽しい時間を大人になっても思い出せるように、しっかりと目に焼き付けた。