リアクタンスさんが部屋に入ると、予想通り、というように口角を少し上げ、
「全く、レミニセンスはこういう雑なところあるから人が寄ってこないのよ」
と言いながら物を搔き分け始めた。
レミニセンスさんの方に顔を動かすと、少し不機嫌な表情を浮かべながらリアクタンスさんを見ていた。
「よし、じゃあここに座って」
リアクタンスさんが物を掻き分けて、一人が座れるくらいのスペースを作っていた。
そこに座ってみると、冷たい床に当たり、学校の椅子を思い出した。
「次はね、手をこういう形にして。空気でできたおにぎり作る感じで。」
と言うリアクタンスさんの手を真似して空気のおにぎりを作る。
「よおし、じゃあそのままキープね。」
そう言うと、リアクタンスさんは私の手の外に層を作るように手を出し、力を込めたのか手がこわばった。
するとその時、手のひらから粒子のようなものがちらちらと現れ、宙に集まってゆく。粒子の集まりは段々と大きくなっていき、やがて布の切れはしが二枚、出来上がった。
一つは紙のように白く、ツルツルした肌触りで、もう片方は夜の空のような青色で、フェルトのような感触だった。
「それが君の中にある言葉で作った『言の葉』」
これが私の「言の葉」。本当に私の中にはこんなに綺麗な言葉があるのだろうか。もっと無機質なものだと思っていた。
「君の好きな姿を言ってくれたら、それに合わせた服を作るから。でも、決めるのはゆっくりでいいよ」
本当に私がこんなに綺麗な言の葉で服を作ってもらっていいのだろうか。
手に広がる小さな夜空と紙を眺めていると、ぼやぼやと抽象的だが、自分に似合う姿が浮かぶ。
「優しくて、いい人になりたい、です」
それが本当になりたい姿なのかは自信が持てなかったが、一番聞き馴染みのあった言葉だし、きっと大丈夫だ。
「なるほど。じゃあ何日かあとにできると思うから、待ってて」
そう言うと、リアクタンスさんは、
「これでもう大丈夫だからー」
と、そそくさと帰っていった。
レミニセンスさんは「ふう」と一息ついた後、やっと自分の番だと私からでも伝わるように体をこちらにスッと向ける。
「よし、次は役割決めだ!」
レミニセンスさんは私の目の奥にある何かを見るように真っ直ぐ目を合わせた。
「全く、レミニセンスはこういう雑なところあるから人が寄ってこないのよ」
と言いながら物を搔き分け始めた。
レミニセンスさんの方に顔を動かすと、少し不機嫌な表情を浮かべながらリアクタンスさんを見ていた。
「よし、じゃあここに座って」
リアクタンスさんが物を掻き分けて、一人が座れるくらいのスペースを作っていた。
そこに座ってみると、冷たい床に当たり、学校の椅子を思い出した。
「次はね、手をこういう形にして。空気でできたおにぎり作る感じで。」
と言うリアクタンスさんの手を真似して空気のおにぎりを作る。
「よおし、じゃあそのままキープね。」
そう言うと、リアクタンスさんは私の手の外に層を作るように手を出し、力を込めたのか手がこわばった。
するとその時、手のひらから粒子のようなものがちらちらと現れ、宙に集まってゆく。粒子の集まりは段々と大きくなっていき、やがて布の切れはしが二枚、出来上がった。
一つは紙のように白く、ツルツルした肌触りで、もう片方は夜の空のような青色で、フェルトのような感触だった。
「それが君の中にある言葉で作った『言の葉』」
これが私の「言の葉」。本当に私の中にはこんなに綺麗な言葉があるのだろうか。もっと無機質なものだと思っていた。
「君の好きな姿を言ってくれたら、それに合わせた服を作るから。でも、決めるのはゆっくりでいいよ」
本当に私がこんなに綺麗な言の葉で服を作ってもらっていいのだろうか。
手に広がる小さな夜空と紙を眺めていると、ぼやぼやと抽象的だが、自分に似合う姿が浮かぶ。
「優しくて、いい人になりたい、です」
それが本当になりたい姿なのかは自信が持てなかったが、一番聞き馴染みのあった言葉だし、きっと大丈夫だ。
「なるほど。じゃあ何日かあとにできると思うから、待ってて」
そう言うと、リアクタンスさんは、
「これでもう大丈夫だからー」
と、そそくさと帰っていった。
レミニセンスさんは「ふう」と一息ついた後、やっと自分の番だと私からでも伝わるように体をこちらにスッと向ける。
「よし、次は役割決めだ!」
レミニセンスさんは私の目の奥にある何かを見るように真っ直ぐ目を合わせた。


