目が覚めたのは明け方だった。薄暗い中体を起こすと、冷たい空気がすうっと全身を駆け抜ける。思わず肩の方に手を伸ばすと、違和感を感じた。
こんなに服って、触り心地良かったっけ?
視界が薄暗い中目を凝らすと、服の汚れていたところや傷んでいたところが無くなっているような...?
触ってみても違和感は感じない。
そういえば、ここでは心の状態が身の回りに現れるとレミニセンスさんが言っていたような気がする。
そのこととなにか関係があるのだろうか。
物音を立てないようにする、のはこの物が床のすき間を埋めるように置かれているこの部屋では至難の業だろう。
なるべく物音が少なくなるようにベットを降り、周りにどんなものがあるのか見ることにした。物が散らかっていて、歩きにくかったが、それが逆に探検してるみたいでわくわくする。
すぐ近くに本が山積みになっている引き出しがあり、さすがにしまっている物を見るのは駄目だと思ったので上に積んである本を見てみた。
「心理学のあいうえお」、「精神の十六構造解説」、「憂鬱な気分の寄り添い方」...本のタイトルを見ている感じ、心理学や精神についての本が平積みにされていた。試しに「心理学のあいうえお」を開いてみると、図や簡単な解説何かがあって読みやすそうだった。
本の山を搔き分けていくうちに、使い古されたノートが目に留まる。手に取って見ると、使われたノート特有の凸凹した感触があった。
開いてみると、途中までs/o、患者管理鎮痛法などのよくわからない用語が並び、蛍光色のマーカーがこれでもかと使われていて読みにくかった。
そして真ん中くらいまでページをめくると、日記のようなものが書かれていた。暗いせいもあるのだが、お世辞としても綺麗とはあまり言えない字で書いてあったため、全てを読みとることは出来なかったが、ある程度は読み取れた。
―――――――――
q月Ib日
也ルフフィ力"レんとがでていった。皆があわててた。
……
―――
走り書きで書かれた人の名前のようなものを何とか読もうと、顔を近づけて目を凝らすと、「セルフフィガレント」と書かれているのが分かった。その時、腕に何かが当たったと思うと、
「ドサドサッ」
本が土砂崩れのように落ちていく。
「なにかあったあ、アンビバレントお…」
寝ぼけたような、レミニセンスさんの声が部屋の外から聞こえてきた。危うくノートを手から滑らすところだったが、何とかノートを本の山の、下の方のどこかに突っ込みおぼつかない足で立つ。
ガチャっと扉が開き、レミニセンスさんが目をこすりながらこちらを見ると、目が段々と開いていき、
「あ、本落ちちゃった?」
そう言って本を集めながら、
「大丈夫?怪我とかないよね?」
と声をかけて、本をかき集めている。自分のせいでこうなったといっぱいになり、
「ありがとうございます。手伝わせてください」
と振り絞り、本を拾った。
「こんなに本って埃っぽかったけ…?」
レミニセンスが埃だらけの指先を眺めながら行った時、また積みあがった本の山に日が差し初めていた。
こんなに服って、触り心地良かったっけ?
視界が薄暗い中目を凝らすと、服の汚れていたところや傷んでいたところが無くなっているような...?
触ってみても違和感は感じない。
そういえば、ここでは心の状態が身の回りに現れるとレミニセンスさんが言っていたような気がする。
そのこととなにか関係があるのだろうか。
物音を立てないようにする、のはこの物が床のすき間を埋めるように置かれているこの部屋では至難の業だろう。
なるべく物音が少なくなるようにベットを降り、周りにどんなものがあるのか見ることにした。物が散らかっていて、歩きにくかったが、それが逆に探検してるみたいでわくわくする。
すぐ近くに本が山積みになっている引き出しがあり、さすがにしまっている物を見るのは駄目だと思ったので上に積んである本を見てみた。
「心理学のあいうえお」、「精神の十六構造解説」、「憂鬱な気分の寄り添い方」...本のタイトルを見ている感じ、心理学や精神についての本が平積みにされていた。試しに「心理学のあいうえお」を開いてみると、図や簡単な解説何かがあって読みやすそうだった。
本の山を搔き分けていくうちに、使い古されたノートが目に留まる。手に取って見ると、使われたノート特有の凸凹した感触があった。
開いてみると、途中までs/o、患者管理鎮痛法などのよくわからない用語が並び、蛍光色のマーカーがこれでもかと使われていて読みにくかった。
そして真ん中くらいまでページをめくると、日記のようなものが書かれていた。暗いせいもあるのだが、お世辞としても綺麗とはあまり言えない字で書いてあったため、全てを読みとることは出来なかったが、ある程度は読み取れた。
―――――――――
q月Ib日
也ルフフィ力"レんとがでていった。皆があわててた。
……
―――
走り書きで書かれた人の名前のようなものを何とか読もうと、顔を近づけて目を凝らすと、「セルフフィガレント」と書かれているのが分かった。その時、腕に何かが当たったと思うと、
「ドサドサッ」
本が土砂崩れのように落ちていく。
「なにかあったあ、アンビバレントお…」
寝ぼけたような、レミニセンスさんの声が部屋の外から聞こえてきた。危うくノートを手から滑らすところだったが、何とかノートを本の山の、下の方のどこかに突っ込みおぼつかない足で立つ。
ガチャっと扉が開き、レミニセンスさんが目をこすりながらこちらを見ると、目が段々と開いていき、
「あ、本落ちちゃった?」
そう言って本を集めながら、
「大丈夫?怪我とかないよね?」
と声をかけて、本をかき集めている。自分のせいでこうなったといっぱいになり、
「ありがとうございます。手伝わせてください」
と振り絞り、本を拾った。
「こんなに本って埃っぽかったけ…?」
レミニセンスが埃だらけの指先を眺めながら行った時、また積みあがった本の山に日が差し初めていた。


