その日、二限が体育だった。

体育館でバスケのミニゲームをしているのだが、頭の中では試合の進捗よりも気になることを考えてしまう。

柊、熱は下がったのだろうか。
連絡は返ってくるから生きてはいるんだろうけど、会ってくれないのはやはり嫌われて……

いや、やめだ。そういうのは直接会って確かめればいい。

自分の中で結論付けて、思考が現在に戻ったその時。

仲間からのパスに反応が遅れてボールを取り損ねそうになった。
なんとかパスは受け取ったが、…痛い。

これ絶対突き指した……

あー、ダサすぎる…。

が、放置すると部活にも支障が出るので試合が終わったタイミングで体育教師に申し出た。

「なにっ、突き指!? 大丈夫かー!」
「あ、はい、大丈夫なんで、とりあえず保健――」
「保健室に行きなさい! 誰か付き添いを…」
「ひとりで行きます!」

この熱血教師は見かけによらず心配性である。
自分の不注意で被ったただの突き指で保健室に付き添われるのは恥ずすぎる。

熱血に負けない大きな声で言い切って、俺は保健室に向かった。

得点板を見る限り、俺のいたチームは無事勝利を収めたらしい。