翌日、俺は柊に中野とのことを話した。彼は『そっか』と小さく言うだけだった。

その数日後、柊が学校を休んだ。

久しぶりに熱を出したらしい。今日で3日、もう柊と会っていない。
放課後見舞いに行くといっても尽く断られるのだ。
感染症の類ではないから伝染ることもないはずなのに。

俺に会いたくないってことだよな。愛想をつかされたか…?

「柊、今日も休みか。何してんだろ、あいつ」

浅井がプリントが溜まってきた柊の机を見つめて心配げに眉を下げる。
熱で休んでいることを浅井と海堂は知らない。

「そろそろ誰かプリント持ってった方が良くない? あー、そういえば柊、彼女できたとか言ってたよな。こういう時って好きな人が来てくれんのが1番効くんじゃね?」
「そうだな。元気が出るだろう」

柊、もう浅井も海堂もおまえがサボりだなんて思ってないぞ。

「つっても柊、相手が誰かは何回聞いてもマジで教えてくれないからなー。雨谷、柊の彼女のこと何か知ってる?」

浅井に話を振られ、どくんと心臓が跳ねる。

柊の彼女のこと……俺が知らないわけない。
柊は俺が言いたくないと言ったから、浅井と海堂にも話していないのだ。