甘く優しく絆されて ―――秘密を知ったあいつが気になる



「俺、長崎初上陸」

新幹線を降りて改札を出ると、真顔で海堂が呟いた。

楽しんで…るのか?
海堂は表情の変化が分かりにくいからいまいち分からん。が、きっとこれはワクワク顔だ。

駅を見渡しながら浅井も乗っかる。

「俺は幼稚園の時、来たことあるらしい。全く覚えてないけど」
「俺は初めて。 遥風は?」
「小2の頃、こっちに住んでた」

と言っても、1年ちょっとだ。父親の仕事の関係で、転校の経験は多い方だと思う。

「まじ? そういえば雨谷って親御さんの転勤で転校してきたんだったな。もう馴染みすぎて忘れてたわ」

…たしかに、いつの間にか4人でいるのに違和感がなくなっていた。

ふっと笑みが零れる。

友達はいらないって固く決意したはずなのにな。

「俺も、数ヶ月前会ったばっかとは思えないくらい居心地いい」

正直に思ったことを口にすると、3人が僅かに目を見開く。

「…雨谷、雰囲気変わったよな。というか最近? 話しかけやすくなったんじゃね?」
「遥風は最初、敵意むき出しの野良猫だったもんね」

好き勝手言ってくれる。…まぁ、否定はできないし間違ってはない気がするので何も言えないが。

「そうそう。そんで柊が上手いこと手懐けたよな〜」
「遥風って懐くと可愛いんだよ。反応が素直で面白いから、ついからかいたくなる」
「人を野生動物みたいに…」

得意げにする柊を軽く睨んで呟くと、今度は海堂が言う。

「飼い猫になった雨谷は、優しい顔をするようになった」
「それだ、海堂」

真面目な顔でされる会話が俺についてなのがおかしくて、少し気恥しくて吹き出す。

「も、やめろって」
「うっわ、今の笑顔なに!? 破壊力すごいんだけど……」
「雨谷、あまり笑わない方がいいかもな。女子の視線もすごい」

浅井と海堂が苦笑混じりに話すのを聞いて俺はちらりと柊を見やった。

こいつ、こういう時絶対――