「…駒木さんとは、ただ委員会が一緒なだけだろ。ああやって放課後残るのだって、修学旅行が終われば終わるんだ」
「そんなの分かってるよ、」
「…頼むから泣くなよ。おまえにそんな顔されたら、俺はどうしていいか分からなくなる」

ぐっと拳に力を入れる。俺のせいで柊が苦しむのは嫌だ。

「遥風……俺、泣いてはない」

柊があっけらかんとした顔で言う。

「俺のキスで涙目になってた遥風に言われたくない」
「……柊、おまえふざけんなよ! なんで今その話を、」

柊はあははと声を上げて笑った。いつもの調子でからかわれた俺はきっと目を釣りあげ彼を睨んだ。
やっっぱこいつムカつく…!

「ね、遥風。寄り道しようよ」
「嫌だ!おまえムカつくから帰る」
「えぇ〜。遥風が来てくれないと、俺泣くよ?」

にやりと口の端を持ち上げる柊。笑っても怒っても、こんな悪い顔してても顔が綺麗とかなんなんだよ一体。

「〜っっ、勝手に泣いてろ!バーカ!」

ガキみたいな怒り方をしてしまった。

胸に残った訳の分からない感情に、俺は戸惑っていたのだ。