6限は修学旅行の班決めの時間。この前遥風と駒木が話していたものだ。遥風は実行委員の仕事をすごくしっかりやっている。
今だって、1組と6組が合同で動くことになったから、集まっている会議室にはそれなりに人が多い。
遥風は前に立って、駒木と一緒に司会進行をしている。
男女6人の班と、人数組み合わせ自由の班の2つを決めるらしい。
「柊ー、俺ら4人で組も」
浅井と海堂が来て言う。俺は前の方に視線を送る。遥風はまだ何か駒木と話しているみたいだ。
「うん。遥風に言ってくる〜」
修学旅行、遥風と回りたい。どっかで2人になれないかな。
スタスタと遥風の横まで行くと、駒木さんと揃ってこちらを向いた。…そこ、息ぴったりなのやめて。
「遥風、俺と浅井と海堂とでいい?」
「あ、あぁ。分かった」
遥風は動揺したように頷く。
「あのさ、男女の班だけど、駒木さんが2人組作るから、俺ら4人と一緒にならないかって言ってくれてて」
遥風の話に俺はちょっとだけうげっと思った。だって駒木って。遥風は駒木のこと可愛いって言ってたし、2人最近、仲良いじゃん。見てるの妬けるんだよなぁ。
でも……
「いいと思う。浅井と海堂にも言っとく。 よろしく、駒木」
「こちらこそ! ありがとう、柊」
ここで断るのは心象悪すぎるし。駒木に罪は無い。俺の心が狭くて余裕が無いだけなのだ。
俺は再び後ろの方に戻り、伝令役を務めたのだった。修学旅行…遥風に楽しいって思ってもらいたい。そのためにはまず、俺の心の平穏を取り戻さなきゃいけないなぁ。
俺はどうしようもなく遥風が好きだ。遥風を想うと苦しくて切ないけど、愛おしいからやめられない。でも遥風の気持ちは分からないまま、修学旅行に向けて着々と準備は進んでいた。