――まぁ、我慢できるわけがなかった。

一週間ぶりの遥風。俺の部屋でふたりきり。連れてきたのは俺だけど。

欲情のままに遥風をキスで溺れさせた。

ダメだ。キスの前に告白だろ、止まれ、俺!

「…っ、や、あっ…ひ、らぎ…」

…っ、こんなの無理だ!

俺はしばし遥風を味わった。息も絶え絶えに、遥風は混乱しきって潤んだ目で俺を見る。

「遥風が好きだ」

今これを言って、意味はあるのか。
怯えさせてしまった。怖がらせた。
遥風の泣きそうな顔を見て、酷いことをしたと自責するのと同時に、そんな顔も可愛いと思う自分がいるのだから、俺はとうとう頭がおかしくなったのかもしれない。

「もう、しないから。 遥風のことも避けたりしない。…遥風は、嫌になったかもしれないけど。その時は、俺の事は無視していいよ」

こんな強引なことは、しない。だけど願わくば、これで俺の気持ちが余すことなく伝わればいい。

「…帰る」といまだ震えた声で呟き、遥風は部屋を出ていく。俺は1人になった部屋で、そんな我儘なことを思った。