1週間が経った。それはもうあっという間に。…ちなみに俺は普通に生活を送れている。変な噂が出回ってまた高校生活が終わるかもしれないと恐れたが、柊はあのことを誰にも言っていないらしい。
しかしその柊とは気まずい状態が続いている。
「先週は雨谷が柊に懐いたと思ったけど、今週は喧嘩?」
浅井があははと面白そうに笑って言う。
喧嘩…だったら百億倍マシだった。俺はとんでもないことをやらかしたのだから。
ほんっとにあの時の俺はどうかしていた。とにかく柊をどうにかしたくて、それで、あんな…キ、――っ、無理だ。忘れたい。
俺は両手で顔を隠すように覆って机に突っ伏す。
というか、あの後の柊の発言も問題アリだろ。なんだよ、もう1回って。
その時の柊の表情が鮮明に浮かんできて、俺は頭を振った。
顔が熱い。心拍数が上がる。この間からずっとそうだ。あいつと触れ合ったのを思い出すと体がおかしくなる。一度熱を測ってみたが、平熱だった。俺はこれがなんなのか分からず1週間思い悩んでいるのだ。…柊は俺に絡んでこないし。
柊の唇…柔らかくて、冷たかった。あいついつもあんなに冷えてんのか…?
…っ、だから! そんなの考えるなよ、俺!