あんなやつら放っておいてさっさと行けよ。

とは言えないので、念を送るように柊を見た。

「柊、今日見学なら俺らのジャージ持ってて」

そこへ口を開いたのは浅井だ。ナイスタイミング。図ったな。

「俺のタイムもメモしておいてほしい」

海堂も加わって、俺はふたりに向けて親指を突き立てたい気分だったが、堪えた。
浅井と海堂は柊のサボりの理由を知らないはずだが、なんとなく察していそうというか。ただのサボりじゃないことはほぼバレてるんじゃないかと思う。

こういう時、頼りになる良い友達じゃねえか。ほんとのこと話してもいいと思うけどな。

柊へのフォローはすっかり成功したと思った俺は、次に柊の発した言葉に心底驚くことになる。

「俺、今日は出る。 ジャージとタイムは、ごめん」
「え? でも、おまえ…」
「さすがに出欠席の計算は考えてんの! そろそろ出ないとマズイなーってとこでさ〜」
「…大丈夫か?」
「なにが? 大丈夫だって。いつも、ただのサボりなんだし」

あーあ。柊はどうしようもない馬鹿だ。見てみろよ、浅井と海堂の顔。心配ですってガッツリ書いてあんじゃねーか。気づけよ。

どうなっても知らないからな、俺は。おまえは俺に怒ってるみたいだし?何があっても助けてなんかやらない。