「駒木さんと柊って、知り合い？」
「中学の同級生ってだけだよ」

どこか素っ気ない返しを不思議に思いながら俺は続ける。

「ふーん。 中学の時からあんな感じだったのか？」
「遥風、気になるの？ 駒木のこと」
「気になるっていうか、まぁ、可愛いなーとは思うけど」

さっきから所々引っかかる言い方をする。珍しく真顔だし、やっぱ何考えてるか分かんねー。

「…遥風、優しかったもんね。駒木さんと話してる時」
「そうか？ 普通だろ」
「前は、遥風は黙ってればモテるって言ったけど、全然違う。遥風のこと好きな子、絶対多いと思うよ」
「はぁ？ 何の話だよ、急に。ていうか、なんか怒ってねえか？」
「怒ってない」
「いや、怒ってるじゃん――」
「うるさい。遥風には分かんないよ」

突如始まった無意味な押し問答に、俺は諦めて会話を終わらせる。

「…寄るとこあるから先に帰って」
「はいはい。勝手にしろ」

正門を出たところで小さく呟いた柊に、俺はムッとしたのを隠そうともせずあしらった。
俺と帰るのが気まずくなったのだろう。俺だって嫌だ。何も言わずにただ怒りをぶつけるなんて柊らしくないと思ったが、意味もわからないまま構わず一緒にいられるほど俺は大人じゃない。
…どーせ、明日には元に戻ってるだろ。