「病弱キャラとか、お呼びじゃないでしょ。遥風にもそのことで迷惑はかけないようにするから」
「キャラとか迷惑とか、そういうの分かんねぇ。友達なら頼られる方が嬉しいと思うんだけど」

何の気なしにそう言って、俺はハッとした。

今の、俺が柊を友達だと思ってて、だから俺には頼れって言ってるように聞こえなかったか?
違う。断じて違う。俺が言ってんのは浅井や海堂のことで…

「いや、ほら、浅井と海堂が――」
「遥風! おまえの口から友達って言葉が出るなんて!俺今めっちゃ嬉しい!」
「だからちが、」
「ナゲット食べるか? 1個やるよ」

柊汐凪はマイペースだ。こいつのペースに飲み込まれたらそこから逃れるのは容易ではない。つまり、俺はこいつをお友達認定したことになったわけだ。

俺の当初のセカンド高校ライフ計画。特定の友達は作らない。クラスメイトとは当たり障りのない距離感で。

今やそれとは正反対の方向に進んでいるではないか。よりにもよって、柊汐凪、最も避けるべき一軍男子の秘密を共有することになろうとは。