終始無言で連れてこられたのは、学校からそれなりに離れた場所のファーストフード店。俺はポテトとハンバーガー、柊はナゲットも追加で注文している。よく食うやつだ。
席につき、俺はハンバーガーにかぶりつく。すると今まで黙っていた柊がやっと口を開いた。
「今日の保健室でのことだけどさ」
俺は相槌もそこそこにポテトを口に運ぶ。
「俺、昔から体調崩しやすくて小学校の頃から保健室は常連なんだ」
なんと答えればいいのか分からず、俺はまたポテトをつまんだ。
「浅井や海堂は高校で知り合ったから、このことは知らない。 他のやつには、言わないでほしい」
「…なんで」
不躾だっただろうか。でも秘密を守れと言われているんだ。質問ぐらい受け付けてくれてもよくないか?
「体育は出たあとが面倒だから出ないだけで、いつも調子悪いってわけじゃないし。心配かけたくないから。あいつらああ見えて優しいんだよ。もう遥風も分かってるだろうけど」
「…ふーん。俺に知られたのは不本意極まりないって感じか」
「俺、元気キャラじゃん。勉強スポーツ人並み以上、そこにサボり魔ってのがいい塩梅で効いてるだろ、今の俺」
「自分で言うかよ」
ぶっきらぼうに呟くと柊はははっと笑った。いつもの柊だ。
俺に言いたいこと言えて変な緊張は解けたってか。