高校2年の2学期。夏休み明け特有の浮ついた雰囲気に一瞬、ピリリとした空気が漂う。

「雨谷遥風(あまや はるか)です。よろしくお願いします」

続いてざわめきが広がり、俺は注目の的。
こんな時期に転校生なんて珍しいものへの興味が湧くのは当然のことなのだろう。

クラス替えから約5ヶ月。クラスの雰囲気というものがだいたい出来上がってきた頃に突然入ってきた俺のことは気にしないでほしい。俺も気にしないから。

面倒だ。これからこの異世界にも思えるアウェイな雰囲気に慣れるのも、新しい人間関係を築くのも、何もかもが。

面倒だから、どうか放っておいてほしい。