九月の最初の週末、文化祭が開催された。
 芦川の宣伝の効果は想像以上で、例年の数倍の人出だと担任が驚いていた。
 さらに予想外だったのは、彼女が二日とも客として来訪したことだ。
 おかげでクラスのカフェは二日間、待ち行列が途絶えることはなかった。売り上げは大幅な黒字。クラスの雰囲気も最高潮だ。
「打ち上げは少し奮発して、八王子のカフェレストランで行うことに決まりました。しかも、カラオケも歌い放題のお店です。日程は来月の――」
 ホームルームで収支を報告する十島の声も弾んでいた。