三日後、任務完了の連絡があり、再びスタジオに向かう。
またあの連中と顔を合わせるのかと憂鬱だったが、幸いバイクはゲートの前に停めてあり、そばには詩乃とADだけがいた。
「これ、鍵っす。まじ助かりました。それからこちらがお足代です」
封筒を手渡し、彼女は足早に去った。
「どうでした?」
「無事快復したわ」
「それは良かったです」
「――何か気になることがあるの?」
「いえ……。放送は九月でしたっけ?」
「そうだ、聞いてっ。私、エキストラ頼まれちゃった。ね、うちってビデオあったっけ?」
「いえ、ありません」
「そう……。いくらくらいするのかしら。今もテープに録画するの?」
「もし必要でしたら僕が何とかしますけど」
「何とかって、買うってこと?お金、ないでしょう?」
「オークションなら、格安で手に入ることもありますから。それより……。その、人間関係とか、大変じゃなかったですか?何か文句言われたりとか。こういう業界ってどこか普通と違ってて――」
「凛音ちゃんのこと、気になるのね」
ひと言も、その名前を口にしていなかったにもかかわらず、彼女はヘルメットをかぶりながら含み笑いをした。
「そんなはずないでしょう」
強く否定したが、相手には伝わらない。
「撮影所は大人の人ばっかりだし、あの子、圭太さんに会えて、きっとうれしかったんだと思うわ」
鋭いのか、的外れなのか。
真逆の印象を与えて、彼女はうしろのシートに乗り込む。
帰り道、取り立てて知りたくもない撮影の裏話をずっと聞かされた。
またあの連中と顔を合わせるのかと憂鬱だったが、幸いバイクはゲートの前に停めてあり、そばには詩乃とADだけがいた。
「これ、鍵っす。まじ助かりました。それからこちらがお足代です」
封筒を手渡し、彼女は足早に去った。
「どうでした?」
「無事快復したわ」
「それは良かったです」
「――何か気になることがあるの?」
「いえ……。放送は九月でしたっけ?」
「そうだ、聞いてっ。私、エキストラ頼まれちゃった。ね、うちってビデオあったっけ?」
「いえ、ありません」
「そう……。いくらくらいするのかしら。今もテープに録画するの?」
「もし必要でしたら僕が何とかしますけど」
「何とかって、買うってこと?お金、ないでしょう?」
「オークションなら、格安で手に入ることもありますから。それより……。その、人間関係とか、大変じゃなかったですか?何か文句言われたりとか。こういう業界ってどこか普通と違ってて――」
「凛音ちゃんのこと、気になるのね」
ひと言も、その名前を口にしていなかったにもかかわらず、彼女はヘルメットをかぶりながら含み笑いをした。
「そんなはずないでしょう」
強く否定したが、相手には伝わらない。
「撮影所は大人の人ばっかりだし、あの子、圭太さんに会えて、きっとうれしかったんだと思うわ」
鋭いのか、的外れなのか。
真逆の印象を与えて、彼女はうしろのシートに乗り込む。
帰り道、取り立てて知りたくもない撮影の裏話をずっと聞かされた。