家に戻り、顛末を報告した。
 二千円で妥結したことと、相手はまた依頼したいと言っていたと伝えると、詩乃は一度は相好を崩した。
「でも、電話では千円しか払わないって言ってなかった?」
 のんびりしているようで、つまらないことは覚えているのだと、余計なところに感心する。
「気遣ってくれたのはうれしいけど、高校生なのに、大人とお金の駆け引きなんてしなくていいのよ」
 祖母ならきっと手放しで褒めた場面だろうが、詩乃の思いやりを不快に感じることはなかった。
 部屋に戻り、ベッドに倒れ込むと、長い一日が終わったことを実感した。