私の名前は芳賀穂乃花。どこにでもいる女子高生だったと思います。
 都会でも田舎でもない、特別進学校でなければ荒れているわけでもない、どこにでもある公立高校。
 私のクラスは三年二組。文系で女子の方が多いクラスです。自然と近しい雰囲気の友人と集まり、女子は五等分になりました。私は四人組の一人として日々過ごしていました。
 これを読んでくれているあなたが、想像するようなごくごく普通のクラスだったと思います。

 春の私はそれなりに幸せでした。行きたい大学を決めて、受験勉強までは最後の部活(私はテニス部だったのです)に取り組み、卒業後の未来に希望を持っていました。
 私の運命が変わったのは六月。梅雨が始まった頃でした。

 これまたよくある話です。四人組の中の一人の不興を買ってしまったのです。
 いじめの内容も、想像しやすいものだと思いますよ。誰もが『いじめ』で想像するようなことは一通り経験したかもしれません。
 陰口、あだ名をつけられて笑わられる、持ち物を壊され隠される……それはまだ軽い方でしょうか。
 私と同じ経験をした方も多くいると思いますし、詳細は控えておきましょうか。
 本当は私が経験したことを事細かに残したいのですが、誰かの心の傷を開くことになってしまってはいけません。

 ここまで読んで、あれ?と思われた方もいるかもしれません。
 私を虐めていた人物は三人なのではないか、と。
 そうともいえますし、違うともいえます。

 それでも私は思うのです。私は、葉空ヨリに殺された、と。