花乃子と私と蒼菜は、昔三人でよく遊ぶ仲だった。だから私のことを忘れてしまった母が花乃子を見たら混乱するだろうと思ったが、やはり花乃子のことも忘れ、新たに蒼菜の友達として認識したらしい。つい安堵のため息を零した。
「で、部屋に入った途端花乃子ちゃんが寝てるお姉ちゃんをぶちまくるんだもん。びっくりしちゃった」
「ぶちまくったの?」
「うん、もう! ベチンベチンって」
身振り手振りで、しかも顔芸までして教えてくれ、その様子が可笑しくて笑ってしまう。
「そんな顔、花乃子はしないでしょ。馬鹿みたい」
あ、駄目だ、ちょっとツボに入った。笑いを止めることが出来ないでいると、いつの間にか私の笑い声に蒼菜の笑い声が乗る。二人でひとしきり笑いあった後、今度は素直に言葉に出せた。
「ありがとう」
「ううん、いいよお。そうだ、お礼は、蒼菜との海!」
「ええ……」
ちょっと渋ってしまうが、輝かせた瞳と今回の仕事ぶりを思うと無下に出来ず、夏休み最後の思い出を妹と作ることになった。
その日の夜見た夢は、相変わらずグレーのもわもわした空間。望月くんもいつもと変わらない様子で、よ、と出迎えてくれた。
昼間の光景も、出来事も、まるで夢の中の出来事だったのではないかと思えるくらいいつも通りだ。いや、夢の中のことだから合っているのだが……。ややこしいな。
「昨日は何で来なかったの? 来るのが当たり前だったから、びっくりしちゃった」
へらへらとしながら近寄ってくる。ジッと顔を覗き込んでみた。「な、なに」としどろもどろとしているが、気まずい訳ではないらしい。
「で、部屋に入った途端花乃子ちゃんが寝てるお姉ちゃんをぶちまくるんだもん。びっくりしちゃった」
「ぶちまくったの?」
「うん、もう! ベチンベチンって」
身振り手振りで、しかも顔芸までして教えてくれ、その様子が可笑しくて笑ってしまう。
「そんな顔、花乃子はしないでしょ。馬鹿みたい」
あ、駄目だ、ちょっとツボに入った。笑いを止めることが出来ないでいると、いつの間にか私の笑い声に蒼菜の笑い声が乗る。二人でひとしきり笑いあった後、今度は素直に言葉に出せた。
「ありがとう」
「ううん、いいよお。そうだ、お礼は、蒼菜との海!」
「ええ……」
ちょっと渋ってしまうが、輝かせた瞳と今回の仕事ぶりを思うと無下に出来ず、夏休み最後の思い出を妹と作ることになった。
その日の夜見た夢は、相変わらずグレーのもわもわした空間。望月くんもいつもと変わらない様子で、よ、と出迎えてくれた。
昼間の光景も、出来事も、まるで夢の中の出来事だったのではないかと思えるくらいいつも通りだ。いや、夢の中のことだから合っているのだが……。ややこしいな。
「昨日は何で来なかったの? 来るのが当たり前だったから、びっくりしちゃった」
へらへらとしながら近寄ってくる。ジッと顔を覗き込んでみた。「な、なに」としどろもどろとしているが、気まずい訳ではないらしい。