「痛い……痛いよ、望月くん」
私の抗議についに力は緩められる。彼の力が痛いんじゃなくて、心が痛くてたまらなかったのだが、緩められたことでようやく彼と顔を合わせられた。
酷い顔をしていた。置いていかれた子犬のような、親とはぐれてしまった子どものような、物悲しくも心細そうな表情。それでいて、今にも自分を傷付けそうな怒りも含まれている。
「どうしたの、望月くん……。屋詰さんが、探してるよ」
「ずっと、ずっと、星村を探してたんだ。眠ったのに、星村はいなくて、この場所だけあって、本当は俺、眠ってないんじゃないかって、でもこの世界には俺は一人で……」
だからこんなにびしょびしょなのか。
「何があったの? 話して」
問いかけてみるが、ぶつぶつと何かを呟く望月くん。何を聞いてもそれらしい返答がされない。
花乃子の焦りは、屋詰さんの焦りそのものだろう。だからか私もつい焦燥感に駆られる。
頬を引っ叩いた。
痛快な音が雨の中反響した。時間が止まったように感じられたのは、彼が呟くのをやめたから。見開かれた目を、私はしっかり見つめた。
胸が痛い。誰かに助けを求めたくなるくらいに。
でも、このままじゃ駄目だ。
「屋詰さんが心配してる。信用できる、大事な人なんでしょ?」
こくりと、頷かれる。こっそり安堵した。意識が戻ってきたらしい。
私の抗議についに力は緩められる。彼の力が痛いんじゃなくて、心が痛くてたまらなかったのだが、緩められたことでようやく彼と顔を合わせられた。
酷い顔をしていた。置いていかれた子犬のような、親とはぐれてしまった子どものような、物悲しくも心細そうな表情。それでいて、今にも自分を傷付けそうな怒りも含まれている。
「どうしたの、望月くん……。屋詰さんが、探してるよ」
「ずっと、ずっと、星村を探してたんだ。眠ったのに、星村はいなくて、この場所だけあって、本当は俺、眠ってないんじゃないかって、でもこの世界には俺は一人で……」
だからこんなにびしょびしょなのか。
「何があったの? 話して」
問いかけてみるが、ぶつぶつと何かを呟く望月くん。何を聞いてもそれらしい返答がされない。
花乃子の焦りは、屋詰さんの焦りそのものだろう。だからか私もつい焦燥感に駆られる。
頬を引っ叩いた。
痛快な音が雨の中反響した。時間が止まったように感じられたのは、彼が呟くのをやめたから。見開かれた目を、私はしっかり見つめた。
胸が痛い。誰かに助けを求めたくなるくらいに。
でも、このままじゃ駄目だ。
「屋詰さんが心配してる。信用できる、大事な人なんでしょ?」
こくりと、頷かれる。こっそり安堵した。意識が戻ってきたらしい。