「心配しなくても、変な話じゃないのよ。何でもはっきり言って、かっこいいって。間違ってることは間違ってるって言える人なんだよって褒めてたわ」
「そんな大それた人間じゃないです」
実際、そうだ。私は人を傷付けることが出来てしまう人間だ。それは間違っていることを進んでしてしまっているということ。母の顔が浮かんでしまって、つい目を逸らした。
「そうかもしれないけれどあの子にはあなたがそう見えているの。人から見られてる自分って案外本当なのよ。あの子の前では、そうであってね」
なかなか難しいことを注文する。でも、そうありたい、とも思う。すると、あっ、と大声が放たれた。振り向くとお風呂から出てパジャマに身を包む紬が立っていた。
「お母さんおかえり! 歩咲に変なこと言ってないよねっ?」
「なーんも言ってないわよ」
「えー嘘だー! 怪しいよー、本当は?」
二人の間に笑い声が弾ける。甘えた子どものような表情を浮かべる紬を見て、これが私から見える紬だということを知る。しつこさは母親の前では愛嬌に変換される。可愛い。素直で喜怒哀楽が激しいが、それは裏を返せば全部甘えているということ。少しだけ、彼女の母親が言った言葉に納得出来た。
三人でカレーを食べている間、それなりに話は弾んだが、私は一つ気になることがあった。紬が時折にこちゃんに話しかけていたのだ。
「歩咲の作ったカレー美味しいねえ」
「え? 駄目だよ、今度来た時は肉じゃが作ってもらうんだから。お母さん、にこちゃんがわがまま言ってる」
「もう、うるさいなあ。歩咲はお姉ちゃんの友達なんだからね」
「そんな大それた人間じゃないです」
実際、そうだ。私は人を傷付けることが出来てしまう人間だ。それは間違っていることを進んでしてしまっているということ。母の顔が浮かんでしまって、つい目を逸らした。
「そうかもしれないけれどあの子にはあなたがそう見えているの。人から見られてる自分って案外本当なのよ。あの子の前では、そうであってね」
なかなか難しいことを注文する。でも、そうありたい、とも思う。すると、あっ、と大声が放たれた。振り向くとお風呂から出てパジャマに身を包む紬が立っていた。
「お母さんおかえり! 歩咲に変なこと言ってないよねっ?」
「なーんも言ってないわよ」
「えー嘘だー! 怪しいよー、本当は?」
二人の間に笑い声が弾ける。甘えた子どものような表情を浮かべる紬を見て、これが私から見える紬だということを知る。しつこさは母親の前では愛嬌に変換される。可愛い。素直で喜怒哀楽が激しいが、それは裏を返せば全部甘えているということ。少しだけ、彼女の母親が言った言葉に納得出来た。
三人でカレーを食べている間、それなりに話は弾んだが、私は一つ気になることがあった。紬が時折にこちゃんに話しかけていたのだ。
「歩咲の作ったカレー美味しいねえ」
「え? 駄目だよ、今度来た時は肉じゃが作ってもらうんだから。お母さん、にこちゃんがわがまま言ってる」
「もう、うるさいなあ。歩咲はお姉ちゃんの友達なんだからね」