夏休みが始まった。始まって早々、屋詰さんから夏祭りのお誘い電話が来た。七月末に行われるその祭りはちょうど花乃子と行こうと話していたもの。
「え、と、幼なじみと行こうと思ってて」
「じゃあ友達も一緒でいいから。こっちも、そうだな、誰かしら呼ぶから。じゃ」
一方的に電話は切られ、断るタイミングを失ってしまう。わざわざメッセージに入れるのもいやらしいし、望月くんの顔に泥を塗る行為かもしれないと思いとどまって花乃子にも話を通すと快く了承してくれた。
花乃子は誰とでも分け隔てなく接することが出来るから、明るい人でも暗い人でも構わないし人数が増えても気にしない。そういう性格に救われてきた。
その日の夜、望月くんに屋詰さんからの電話のことを話すと彼は喜んでくれた。
「いいじゃんいいじゃん、タロちんも星村のこと気に入ったんだ」
「どうだろ」
屋詰さんが私に見せた一瞬の冷たい目を思い出す。大きな目を細め、信用出来ない、と言いたげだったように思う。だからこそこのお誘いは意外なものだった。
「まあでもその日、幼なじみと行く約束してたから本当は断りたかったんだけどトントン拍子に話が進んじゃって」
「へえ、じゃあ三人で?」
「ううん、誰か誘うって言ってた。私ちょっと人見知りだからなあ」
「え、と、幼なじみと行こうと思ってて」
「じゃあ友達も一緒でいいから。こっちも、そうだな、誰かしら呼ぶから。じゃ」
一方的に電話は切られ、断るタイミングを失ってしまう。わざわざメッセージに入れるのもいやらしいし、望月くんの顔に泥を塗る行為かもしれないと思いとどまって花乃子にも話を通すと快く了承してくれた。
花乃子は誰とでも分け隔てなく接することが出来るから、明るい人でも暗い人でも構わないし人数が増えても気にしない。そういう性格に救われてきた。
その日の夜、望月くんに屋詰さんからの電話のことを話すと彼は喜んでくれた。
「いいじゃんいいじゃん、タロちんも星村のこと気に入ったんだ」
「どうだろ」
屋詰さんが私に見せた一瞬の冷たい目を思い出す。大きな目を細め、信用出来ない、と言いたげだったように思う。だからこそこのお誘いは意外なものだった。
「まあでもその日、幼なじみと行く約束してたから本当は断りたかったんだけどトントン拍子に話が進んじゃって」
「へえ、じゃあ三人で?」
「ううん、誰か誘うって言ってた。私ちょっと人見知りだからなあ」