「す、すみません。望月くん、私に友達を増やしたいみたいで」
 間違ってはいない。が、少し恥ずかしくて顔が赤くなったのを自覚する。お兄ちゃんの後を着いて回る妹みたいな気分。だがまさか彼氏候補として紹介されたとも言えない。
「まためちゃくちゃな……。こいつ、冗談のように見えて結構本気でこういうことする奴だから気を付けてな」
「はあ、まあ、今回のことで身をもって知りました」
 屋詰さんの言葉通り思い出されるのは数々の冗談。私がため息混じりに笑うと同じような表情を返してきた。
 見た目のわりにちょっと怖い人かも、と思っていたが、案外気さくなのかもしれない。
 安心していると「さ、連絡先交換、連絡先交換」と横から誰よりも乗り気に促してくる。
 そういえば望月くんと連絡先交換していないな。
 そのことに気付いたが口には出さず、言われた通り連絡先交換を終え、解散した。