「良かったら俺の友達を紹介するよ、良い奴がいてさ、そいつは信用できるよ」
 うんうんと頷いて腕を組む彼。力が抜けていく。馬鹿馬鹿しい。でも、安心感が帰ってきて、私は座り込んだ。
 勘違いをしばらく続けた望月くんが落ち着いたあと、私たちはさっきの事象について語り合った。
 望月くんの彼女が出てきたこと。これは、いわば悪夢として片付けられる。彼には失礼な話だが、彼の記憶が反映されているのだから当然と言えば当然だが、それで説明がつく。
「じゃあ人も出てこれるってことなんだ」
「うん、でも、彼女は望月くんしか認識してないようだった」
 望月くんを見つめる横顔が私の方を振り向くことはなかった。だから、と人差し指を立て、仮説を立ててみる。
「たぶん私たちのようにここで会ってる、という感覚はないと思う。あくまでも出てきただけ。ここの空間が形を変えたり、ボールを出してくるのと同じこと。その証拠にきっと彼女は夢に出てきた認識はないはずだから、今日彼女に会ったら聞いてみて」
 望月くんが頷いたのを見て、私は改めて彼と向き直った。
「それから、昨日はごめん。さっきのことも……。完全に八つ当たりだった」
「いいよ、そんなこともあるよ。それよりさっきの話だけど」
「へ?」
「友達。紹介しようか?」