でも、この数日間、謝りたいと思っていたのと同じくらい寂しいとも思っていた。休憩時間になる度にわざわざクラスの違う私の所へ来ていた紬。一人でいることじゃなく、彼女が教室に来ないことが寂しかった。
 反応が大きくて喜怒哀楽が激しくて粘着質。彼女を避けた日もあったのに。
「いたくない、訳じゃない……。ごめん。勝手なことは、本当にわかってるんだけど、少しだけ、いてほしい、かも……」
 我ながら煮え切らない返事。どう言われても受け入れるつもりでいると、テーブルが音を立てる。思わず顔を上げると立ち上がった紬の嬉しそうな顔がそこにはあった。
「本当っ?」
「う、うん。静かにして」
「あ、ごめん。ねえねえ、本当? いいの?」
「……いいよ」
 つい目を細めてしまう。それに気付いた彼女が大袈裟に口を手で隠した。
「ご、ごめん、これが駄目なんだよね」