「じゃあ謝りに行こう。それで、どうして真似するのか、聞いてみよう。ぶつけて終わりじゃなくてさ、問いかけるんだ。あ。そろそろだ」
 そろそろだ、という言葉を聞いて私も空間がはっきりしてきたことに気付く。
 じゃあね。どちらともなく手を上げ、目を覚ました。
 支度をして学校へ行き、一人ぼっちで席に座っていた紬に真っ先に話しかけた。
「おはよう」
 驚いた彼女の顔を差し置いて続ける。
「昼休憩の時……ううん、放課後でもいいんだけれど、話があるからちょっと時間くれない?」
「あ……じゃあ、昼、一緒に食べよう」
 戸惑いながらも応えてくれ、私も自分のクラスに向かった。
 昼休憩、クラスの違う彼女を迎えに行って、一緒に食堂へ向かった。その間どちらも口を開かず、食券販売機の時にようやく「何にする?」と問いかけてみた。
「うーん、カレーにしようかな」
「私はラーメンとおにぎりにしようかな」
 言いながらまずカレーのボタンを押すと「えっ」と驚いていた。続けて自分の分の食券も買い、少し行列が出来ている列に並ぶ。
「あ、歩咲、いいよ、自分の分は自分で出すし」
「いいよ。これは……こんなのじゃだめかもしれないけど、お詫びだと思ってくれたら」
「……お詫びだなんて、そんな……」
 何に対するものなのか、言わなくてもわかったらしい。それが彼女を傷付けていた裏付けにもなった。
 レジで渡してすぐに料理を渡され、適当なところに向かい合って座った。手を合わせ「まずは」と口火を切る。
「ごめん。あんな風に、傷付けるような言い方をして」
「ううん。歩咲に言われて気付いたの、本当のことだって。こっちこそしつこくしてごめん」