「そこから通えばいいしお前が望むなら転校だってしていい」
 淡々と言ってのける父が、人間に思えなくて立ちくらみをしてしまう。よろついた私を蒼菜が支えてくれた。
「何それ! そんなの、聞いてないよっ。蒼菜、お姉ちゃんと離れたくないよ!」
 妹が護衛に入ってくれるが「だったらお前もそこに行けばいい」と返されてしまう。横から絶句した気配が伝わってきて、私は、蒼菜からそっと離れた。
「大丈夫、蒼菜。蒼菜はお父さんたちと住みな……」
「お姉ちゃん、そんな」
 悲しそうに眉をひそめ、首を横に振る妹に微笑みかけ、私は父と母を睨みつけた。
 父はその視線を受け止め、母は相変わらず目を伏せ、よく見ると肩を震わせている。私がテーブルを叩くと、その肩が大きく揺れた。
「そういうこと。私を捨てるから、これが最後だからってあんなに笑顔だったんだ」
「そんな言い方をするな」
「だってそうでしょ、私の都合も考えないで親の勝手で学校も変えさせて。私、今あの学校から離れたくないのに」
 私の抗議も、面倒くさそうにため息をつかれた。
「お前が嫌なら、俺たちが移住してもいい。幸い、ネット環境があればどこでも出来る仕事だからな」
「何それ……」