山田たちがしたことは最低なことだし、許されない。けれど私のしたことも最低なこと。例え、あの子に感謝されたとしても、山田たちの心には傷が深く残り、かつてのクラスメイトたちを傷付けたことは謝ったって許されることではない。
 忘れないこと。だから、忘れずに、ずっと罪の意識を持ち続けること。私は胸に手を当てて、刷り込むように繰り返した。
「俺も、受け入れられたらいいな」
「ん?」
「変わっていくことを。……それで、良い方に変わりたいって、思うよ。星村を見てると」
 キャンプファイヤーに視線を投げた横顔を見つめる。
 望月くんは素敵な人だ。不安に思わなくても、彼は既に素敵なのだから恐れなくてもいいだろう、と私は思う。
 だから伝えようとしたが、その瞳が、どこか違うところを見ているような気がして言うことを憚られた。
 代わりに、違うことを口にしていた。
「ブレスレット……」
「ん? ああ、沖縄土産だよ。星村はいらないって言ってたし、結構時間も経っちゃったけどさ。せめて、持ってて欲しいんだ。ここに来れない日が来ても」
「またそんなこと……」
 私はわざと笑ってみせたが、望月くんは笑わなかった。
「俺を好きにならないで」
「望月、くん?」
 見つめ返された目は、ただ真っ直ぐに私を映す。
「所詮、ここは夢の中だからさ……。だけど、俺を好きにならない星村が現実で生きてる。それだけで、苦しいくらい心強いから」
「何それ……」
 意味がわからない。そんな複雑な感情、訳がわからないよ。
 そう抗議しようとした。
 そして次の瞬間には、私は目を覚ましていた。