キャンプファイヤーの灯火が私を、そして望月くんを鮮やかに照らす。夢に入った時、望月くんは火の前にいた。私は彼の背中をしばらく眺めてから、声をかけた。
「望月くん」
「星村。文化祭、回ろっか」
「え」
近寄ってきた彼に手を取られ、校舎の中に入る。夢の中だからだろう、この時間には片付けていたはずなのにまだお店は営業していて、しかし生徒たちの顔はどこかぼやけ、誰なのかは分からない。お金も払う必要はなく、注文だけで商品が手に入った。
「はい、星村。このまま体育館へ行こうか」
ポテトフライを手渡され、ありがとう、と返す間もなく手を引っ張られる。
なんか、変だ。
繋いでいる手を、振りほどくことが出来ない。人の間を縫って歩きながら、私は彼の背中に、ねえ、と呼びかけてみた。
振り向かない。やっぱり、なんか変だ。
「望月くん、ちょっと、ねえ、なんか変だよ、怒ってる?」
無視される。無視されていい気がする人間もいないだろう、眉間に皺が寄ってしまう。
「ねえねえねえねえねえねえねえねええ」
子どもみたいに、しつこく言い続けるとやっと振り向いた。けれどその顔は、怒っている訳でも、このしつこさに笑っている訳でもなく、寂しそうな表情を浮かべていた。
何て顔してるんだ。思わず言葉を詰まらせた。
「星村は、もうここには来ないんだろうなって……思って」
「は? 来てるじゃん、どういうこと」
「いや……そう仕向けたのは、俺だからいいんだけど」
「はあ……何言ってんだか」
私はため息をつくと、肩で突進してみた。うわ、と短い悲鳴を上げてよろめくが、さすが男の子なだけあって私を支えるように体制を立て直す。
「望月くん」
「星村。文化祭、回ろっか」
「え」
近寄ってきた彼に手を取られ、校舎の中に入る。夢の中だからだろう、この時間には片付けていたはずなのにまだお店は営業していて、しかし生徒たちの顔はどこかぼやけ、誰なのかは分からない。お金も払う必要はなく、注文だけで商品が手に入った。
「はい、星村。このまま体育館へ行こうか」
ポテトフライを手渡され、ありがとう、と返す間もなく手を引っ張られる。
なんか、変だ。
繋いでいる手を、振りほどくことが出来ない。人の間を縫って歩きながら、私は彼の背中に、ねえ、と呼びかけてみた。
振り向かない。やっぱり、なんか変だ。
「望月くん、ちょっと、ねえ、なんか変だよ、怒ってる?」
無視される。無視されていい気がする人間もいないだろう、眉間に皺が寄ってしまう。
「ねえねえねえねえねえねえねえねええ」
子どもみたいに、しつこく言い続けるとやっと振り向いた。けれどその顔は、怒っている訳でも、このしつこさに笑っている訳でもなく、寂しそうな表情を浮かべていた。
何て顔してるんだ。思わず言葉を詰まらせた。
「星村は、もうここには来ないんだろうなって……思って」
「は? 来てるじゃん、どういうこと」
「いや……そう仕向けたのは、俺だからいいんだけど」
「はあ……何言ってんだか」
私はため息をつくと、肩で突進してみた。うわ、と短い悲鳴を上げてよろめくが、さすが男の子なだけあって私を支えるように体制を立て直す。