赤かった顔を歪め、彼女たちは私を睨み付けると教室を飛び出した。教室内の緊張の糸が張り詰めていたが、ぐわんと緩み、みんな笑顔になった。振り向くと紬の安心したような顔を見て、私も笑みを浮かべた。
焼きうどんは美味しかった。醤油ベースに豚バラとキャベツ、人参などが入っていて結構お腹が膨れてしまった。その横の焼きそば屋はツナが入っているらしいが、もう入りそうにない。
「それにしてもびっくりした」
教室を後にすると、紬が口にした。私は首を傾げた。
「いや何がって顔してるけど。メニュー見てたらいつの間にか歩咲が上級生に食ってかかってるんだもん、そりゃびっくりするでしょ」
「ああ……でも大声で、あんなの誰もいい気しないでしょ。ま、人のこと言えた義理じゃないけど」
「……歩咲……」
「だからこそ、かな。経験談だよ」
眉を下げて口を噤む彼女に、心配かけまいと笑いかけてみる。
そう、私が言えた義理じゃない。ポケットに入れたブレスレットを握りしめ、あ、と思い出す。
「ごめん、もう時間だ! 戻らなきゃ」
「また後で食べに行くね」
紬に見送られながら急いで教室へ向かう。人の間を駆け抜けながら、思い出されるのは中学時代のこと。……忘れよう。今は、楽しいのだから。足を早め、教室へ向かった。
私が教室に戻ると、続いて休憩に入っていた神崎さんグループも戻ってきた。その中に葉月くんと真咲くんもいて、微笑ましくなる。
見てわかるくらい、二人は神崎さんが好きだ。クラス内で二人の好意は周知の事実。まさに青春の主人公と言わんばかりの神崎さん。
中学時代の私も、その位置にいたと思う。けれど神崎さんと違って、私は日々演じていた。ナチュラルではなかった。私の暗さは、尖っていた。
休憩に行く子達と入れ替わり、再び店を回していく中、さっきよりは忙しくないことに気付く。
「落ち着いてきたね」
神崎さんが私の横に寄ってきて口にする。
「まあみんな散々食べたあとだろうし、飲食はこういう時痛いよね」
残念そうに言うものだから、元気だなあと思いつつ、お腹を摩った。
焼きうどんは美味しかった。醤油ベースに豚バラとキャベツ、人参などが入っていて結構お腹が膨れてしまった。その横の焼きそば屋はツナが入っているらしいが、もう入りそうにない。
「それにしてもびっくりした」
教室を後にすると、紬が口にした。私は首を傾げた。
「いや何がって顔してるけど。メニュー見てたらいつの間にか歩咲が上級生に食ってかかってるんだもん、そりゃびっくりするでしょ」
「ああ……でも大声で、あんなの誰もいい気しないでしょ。ま、人のこと言えた義理じゃないけど」
「……歩咲……」
「だからこそ、かな。経験談だよ」
眉を下げて口を噤む彼女に、心配かけまいと笑いかけてみる。
そう、私が言えた義理じゃない。ポケットに入れたブレスレットを握りしめ、あ、と思い出す。
「ごめん、もう時間だ! 戻らなきゃ」
「また後で食べに行くね」
紬に見送られながら急いで教室へ向かう。人の間を駆け抜けながら、思い出されるのは中学時代のこと。……忘れよう。今は、楽しいのだから。足を早め、教室へ向かった。
私が教室に戻ると、続いて休憩に入っていた神崎さんグループも戻ってきた。その中に葉月くんと真咲くんもいて、微笑ましくなる。
見てわかるくらい、二人は神崎さんが好きだ。クラス内で二人の好意は周知の事実。まさに青春の主人公と言わんばかりの神崎さん。
中学時代の私も、その位置にいたと思う。けれど神崎さんと違って、私は日々演じていた。ナチュラルではなかった。私の暗さは、尖っていた。
休憩に行く子達と入れ替わり、再び店を回していく中、さっきよりは忙しくないことに気付く。
「落ち着いてきたね」
神崎さんが私の横に寄ってきて口にする。
「まあみんな散々食べたあとだろうし、飲食はこういう時痛いよね」
残念そうに言うものだから、元気だなあと思いつつ、お腹を摩った。