ダンボールに黄色い色紙を貼って、う、の枠を作っていると、クラスメイトの神崎さんが「う?」と問いかけてきた。
神崎さんはスクールカーストで言う上位の人だが、暗い私にも話しかけてくれるいい人だ。
パーマを当てた髪をポニーテールにして、濃いメイクを施し、香水の匂いなのか、甘い匂いが鼻腔を掠めた。
「うますぎる! 昔懐かし焼きおにぎり」
キャッチコピーを口にすると、ああ、と納得したようだった。その後ろで葉月くんと真咲くんが神崎さんの肩から顔を出してきた。
「やっぱもっと強いキャッチコピーが欲しいよなあ」
何故か胸ポケットにかけていたサングラスをかけて真咲くんが言うと、その後を葉月くんが続ける。
「と言うと?」
「うそ! ランダム? 何が入ってるか食べてみてのお楽しみ! 焼きおにぎり!」
そっちの方がいいような気がしてくる。ううん、と悩む二人と同じように悩んでいると彼女が「もっと考えちゃう?」と言い出した。
一応クラス全員で考えたキャッチコピーなのにまた一から考えるのか、と思ったが、彼女たちならその提案も許されるのだろう。
真咲くんがそれぞれ作業に取り掛かるみんなに招集をかけると、上辺だけはだるそうにしながらも楽しそうに近寄ってきて会議という名の談笑会が始まった。
その日の夜、つい放課後のことを話すと望月くんは嬉しそうに口元を綻ばせた。というより、言い方を変えればニヤニヤしている。
「何その顔。気持ち悪い」
「酷い! いやあ、星村楽しそうだなあって」
「別に。そりゃ、初めての文化祭だし。ちょっと、青春っぽいなって思っちゃったり?」
言えば言うほど恥ずかしくなってきた。ついそっぽを向くと、笑い声が聞こえてくる。からかわれている。でも嫌な気はしない。睨みつけると案の定まだニヤニヤしていた。
神崎さんはスクールカーストで言う上位の人だが、暗い私にも話しかけてくれるいい人だ。
パーマを当てた髪をポニーテールにして、濃いメイクを施し、香水の匂いなのか、甘い匂いが鼻腔を掠めた。
「うますぎる! 昔懐かし焼きおにぎり」
キャッチコピーを口にすると、ああ、と納得したようだった。その後ろで葉月くんと真咲くんが神崎さんの肩から顔を出してきた。
「やっぱもっと強いキャッチコピーが欲しいよなあ」
何故か胸ポケットにかけていたサングラスをかけて真咲くんが言うと、その後を葉月くんが続ける。
「と言うと?」
「うそ! ランダム? 何が入ってるか食べてみてのお楽しみ! 焼きおにぎり!」
そっちの方がいいような気がしてくる。ううん、と悩む二人と同じように悩んでいると彼女が「もっと考えちゃう?」と言い出した。
一応クラス全員で考えたキャッチコピーなのにまた一から考えるのか、と思ったが、彼女たちならその提案も許されるのだろう。
真咲くんがそれぞれ作業に取り掛かるみんなに招集をかけると、上辺だけはだるそうにしながらも楽しそうに近寄ってきて会議という名の談笑会が始まった。
その日の夜、つい放課後のことを話すと望月くんは嬉しそうに口元を綻ばせた。というより、言い方を変えればニヤニヤしている。
「何その顔。気持ち悪い」
「酷い! いやあ、星村楽しそうだなあって」
「別に。そりゃ、初めての文化祭だし。ちょっと、青春っぽいなって思っちゃったり?」
言えば言うほど恥ずかしくなってきた。ついそっぽを向くと、笑い声が聞こえてくる。からかわれている。でも嫌な気はしない。睨みつけると案の定まだニヤニヤしていた。