「ちょっと、笑うことないでしょ」
「だって、真面目な顔で、ふふ」
 光属性ってそんなに変な言葉だろうか。つい口を尖らせると、目尻の涙を拭って、お姉ちゃん、と呼びかけられる。
「ありがとう、そんな風に言ってくれて。蒼菜、何だか自信ついちゃった」
 そ。一言だけ返して私はさっさと歩き始める。ああ待って待って、と後ろから追いかけてきて、私の前に躍り出る。思わず睨みつけると、また笑いが込み上げてきそうなのか、口元に手をやった。
「ご、ごめん。それより蒼菜、お姉ちゃんに言いたいことあって。えっと、ごめんね?」
「何が?」
 並んで歩くと、やっと落ち着くことが出来たらしい。言いたいことのあとに続いた謝罪に心当たりがなく首を傾げる。
「前、お父さんたちと話したんでしょ? その日、蒼菜遊びに行ってていなかったし……。けしかけた訳じゃないんだけど、お母さんとお姉ちゃんが面と向かって話したら思い出すんじゃないって軽くお父さんに言っちゃったの。だから」
 なるほど。いつも友達と登校していた彼女が、珍しく着いてきた理由はこれらしい。
「言わなきゃ言わなきゃって思ってたんだけど、蒼菜とお姉ちゃんのタイミング合わなくて」
 しょぼんと顔を俯かせて、ごめん、ともう一度謝られる。さながら怒られた時の犬みたいだ。私は頭を振った。
「いいよ。蒼菜は家族仲良くして欲しいんでしょ」
「……してくれるの?」
 大きな目が更に見開かれる。私は鼻で笑ってしまった。