驚きながらも笑ってみせたが、彼は笑わなかった。真っ直ぐに私を見て、もう一度同じことを繰り返した。
「頼れる人を作って」
「心配しなくても……。私には、ここがあるし」
「でも、ここは所詮夢の中だ。俺、この前思ったんだよ。ここに来れなかった時……いつか、そういう日が来るんじゃないかって」
私だって、想像しなかった訳じゃない。ここがいつか消えてしまう日、私たちが本当に接点をなくす日が、いつか来るかもしれない。
それは、凄く怖いこと。ここは私の居場所で、望月くんにはここにいて欲しい。ここで私と話をして欲しい。もしそんな日が来たら……。
「そういう日が来た時、俺たちはどうするだろうって。会いに行けるか、現実にいるお互いの存在を受け入れられるか……俺は、無理だと思う」
「……そうだね。私も……」
外の世界で今と同じように振る舞えるかと聞かれたら、きっと、無理だ。先輩と後輩として、同じ学校の同じ生徒として、大勢の中のただの一人として、お互いを見れるかと聞かれたら、自信がない。
私たちはここにいて、二人の世界で、たった一人の人として出会えたから特別なのだ。
この場所もそうだ。誰も入って来れない、外の世界とは隔離された特別な空間。それを外の世界と同じようには扱えない。きっと、出来ない。
「だから、さ。現実でも星村にはそういう人が出来てほしい。そういう場所が出来て欲しい」
望月くんは、私のことなのに、私よりも切望するように口にした。
眩しい、と思った。
彼の顔は赤く染まり、瞳が火を灯したように揺れている。その力強い言葉が、その瞳を作り出したのだと思えてしまうほどに、眩しい。
他人のことをこんな風に願えるこの人を美しいと思った。同時に、自問自答してしまう。
居場所。居場所にいてくれる人……。私が? 現実で?
「頼れる人を作って」
「心配しなくても……。私には、ここがあるし」
「でも、ここは所詮夢の中だ。俺、この前思ったんだよ。ここに来れなかった時……いつか、そういう日が来るんじゃないかって」
私だって、想像しなかった訳じゃない。ここがいつか消えてしまう日、私たちが本当に接点をなくす日が、いつか来るかもしれない。
それは、凄く怖いこと。ここは私の居場所で、望月くんにはここにいて欲しい。ここで私と話をして欲しい。もしそんな日が来たら……。
「そういう日が来た時、俺たちはどうするだろうって。会いに行けるか、現実にいるお互いの存在を受け入れられるか……俺は、無理だと思う」
「……そうだね。私も……」
外の世界で今と同じように振る舞えるかと聞かれたら、きっと、無理だ。先輩と後輩として、同じ学校の同じ生徒として、大勢の中のただの一人として、お互いを見れるかと聞かれたら、自信がない。
私たちはここにいて、二人の世界で、たった一人の人として出会えたから特別なのだ。
この場所もそうだ。誰も入って来れない、外の世界とは隔離された特別な空間。それを外の世界と同じようには扱えない。きっと、出来ない。
「だから、さ。現実でも星村にはそういう人が出来てほしい。そういう場所が出来て欲しい」
望月くんは、私のことなのに、私よりも切望するように口にした。
眩しい、と思った。
彼の顔は赤く染まり、瞳が火を灯したように揺れている。その力強い言葉が、その瞳を作り出したのだと思えてしまうほどに、眩しい。
他人のことをこんな風に願えるこの人を美しいと思った。同時に、自問自答してしまう。
居場所。居場所にいてくれる人……。私が? 現実で?