「でも星村もだろ?」
「そうだね。それに……」
私は、今日家族間であったことを話した。母が私を忘れてしまったこと、その原因は私が作ったこと、そうなった経緯が母に強く当たられていたからで、そのことで今日父と話したが分かり合えなかったこと……。
望月くんにこんな話をするなんて思わなかった。ここでは、私の生活を匂わせたくなかったから。
けれどここに来れなかった時間が頑なだった気持ちを溶かしたかのように、さらさらと事情を話していた。話せば話すほどに気が楽になっていく。初めて話した内情を黙って望月くんは聞いてくれ、話し終えると、そうだったんだな、と頷いた。
「話し合えば分かり合えるなんて言うけどさ、分かり合えない人種もいるんだよ」
「ああ……確かに」
父に凄まれ、絶望したのはそこだったのだと理解する。分かり合えない、話しても一方的で、更に罠に嵌ったかのような倍返しを食らったあの感覚。
「星村、前に言ってくれただろ? ここには辛いことも苦しいことも何もないからって。……俺は、きっとここにいるから。保証は出来ないけど、でもきっといる。だから苦しかったらここに来て、全部忘れて、青春でもしようぜ?」
「何それ」
思わず笑みが零れた。格好付けた言い方がおかしかったのか、不確かなきっとが面白かったのか、分からない。ふんわりした慰めに呆れたのかもしれない。つい昨日までここに来れなかったのに。
それでも私は、頷いていた。
「この世界中の誰も知らない場所で青春しよっか」
望月くんが力強く頷く。いつ壊れてもおかしくない約束が、私に明日も起きる勇気を与えてくれた。
「そうだね。それに……」
私は、今日家族間であったことを話した。母が私を忘れてしまったこと、その原因は私が作ったこと、そうなった経緯が母に強く当たられていたからで、そのことで今日父と話したが分かり合えなかったこと……。
望月くんにこんな話をするなんて思わなかった。ここでは、私の生活を匂わせたくなかったから。
けれどここに来れなかった時間が頑なだった気持ちを溶かしたかのように、さらさらと事情を話していた。話せば話すほどに気が楽になっていく。初めて話した内情を黙って望月くんは聞いてくれ、話し終えると、そうだったんだな、と頷いた。
「話し合えば分かり合えるなんて言うけどさ、分かり合えない人種もいるんだよ」
「ああ……確かに」
父に凄まれ、絶望したのはそこだったのだと理解する。分かり合えない、話しても一方的で、更に罠に嵌ったかのような倍返しを食らったあの感覚。
「星村、前に言ってくれただろ? ここには辛いことも苦しいことも何もないからって。……俺は、きっとここにいるから。保証は出来ないけど、でもきっといる。だから苦しかったらここに来て、全部忘れて、青春でもしようぜ?」
「何それ」
思わず笑みが零れた。格好付けた言い方がおかしかったのか、不確かなきっとが面白かったのか、分からない。ふんわりした慰めに呆れたのかもしれない。つい昨日までここに来れなかったのに。
それでも私は、頷いていた。
「この世界中の誰も知らない場所で青春しよっか」
望月くんが力強く頷く。いつ壊れてもおかしくない約束が、私に明日も起きる勇気を与えてくれた。