しかし、未弦は突然「待って」と制した。今まで話してほしいと訴えていたのに、どうしてだろう。
「話を聞いてたら、ちょっと気になることを思い出しちゃって」
そう言いながら、未弦はジーンズのポケットからスマホを取り出した。しかし、それはいつも見ていた茶色のスマホではなく、見覚えのないピンク色のスマホだった。
「それ……誰のスマホ?」
思わず尋ねると、未弦はためらうことなく答えた。
「弓彩のよ。あの子、怒ってそのまま出て行っちゃったから、部屋に置きっぱなしだったの」
未弦は迷いなくスマホの電源を入れ、慣れた様子で操作を始めた。その姿は、妹への過保護すぎる愛情が見え隠れしている。デリカシーが足りない気がして、少し胸が痛んだ。
「そんなの見たらダメじゃない?後で弓彩に怒られちゃうよ」
思わずそう言ったが、未弦はにっこりと笑って言った。
「もちろん覚悟の上よ。でも、調べるしかなかったの。それでこれが出てきたの」
未弦はスマホを私に見せると、画面に映ったものに私は目を奪われた。そこには、私が以前住んでいた県の地図が映し出されていた。未弦が指でスクロールすると、地図上に赤い丸がたくさんつけられているのが見えた。それらはすべて病院だった。
その瞬間、胸がざわつき、目を見開いた。病院といえば、私の母さんだ。まさか、弓彩は家出を口実に、母さんを探しに行っているのかもしれない。
でも、すぐに疑問が湧く。どうして病院にだけ丸がついているのか?
「どうして病院にだけ丸がついてるのか気になって、父さんと母さんに話したんだけど、まさかそんなところにいるわけないだろって。街中や出かけた場所ばかり探してるのよ」
未弦の表情は困惑していて、彼が少しでも引っかかっていることが伝わってきた。
「うちもまさかと思ったんだけど、気になってさ。楓音の家に来るまで、この丸印の病院を電車と徒歩で探してみたの。でも、走りすぎて何度も足がもつれて転んじゃって……結局、まだ見つけられてないんだ」
未弦は自分のスマホを取り出し、訪れた病院にバツ印をつけた画像を見せてきた。すでに訪れた病院はバツ印で記されていたが、丸印の病院はまだたくさん残っていた。未弦は、まるで行き詰ったように肩を落としている。
隣にいた未弦の両親も、同じように困り果てている様子だった。彼らの顔には、父親の心配や、どうしても解決できないという焦りが浮かんでいた。
私が秘密を打ち明けようとした瞬間にこんな展開になったけれど、だからこそ、未弦の本音を聞けたのかもしれない。
「話を聞いてたら、ちょっと気になることを思い出しちゃって」
そう言いながら、未弦はジーンズのポケットからスマホを取り出した。しかし、それはいつも見ていた茶色のスマホではなく、見覚えのないピンク色のスマホだった。
「それ……誰のスマホ?」
思わず尋ねると、未弦はためらうことなく答えた。
「弓彩のよ。あの子、怒ってそのまま出て行っちゃったから、部屋に置きっぱなしだったの」
未弦は迷いなくスマホの電源を入れ、慣れた様子で操作を始めた。その姿は、妹への過保護すぎる愛情が見え隠れしている。デリカシーが足りない気がして、少し胸が痛んだ。
「そんなの見たらダメじゃない?後で弓彩に怒られちゃうよ」
思わずそう言ったが、未弦はにっこりと笑って言った。
「もちろん覚悟の上よ。でも、調べるしかなかったの。それでこれが出てきたの」
未弦はスマホを私に見せると、画面に映ったものに私は目を奪われた。そこには、私が以前住んでいた県の地図が映し出されていた。未弦が指でスクロールすると、地図上に赤い丸がたくさんつけられているのが見えた。それらはすべて病院だった。
その瞬間、胸がざわつき、目を見開いた。病院といえば、私の母さんだ。まさか、弓彩は家出を口実に、母さんを探しに行っているのかもしれない。
でも、すぐに疑問が湧く。どうして病院にだけ丸がついているのか?
「どうして病院にだけ丸がついてるのか気になって、父さんと母さんに話したんだけど、まさかそんなところにいるわけないだろって。街中や出かけた場所ばかり探してるのよ」
未弦の表情は困惑していて、彼が少しでも引っかかっていることが伝わってきた。
「うちもまさかと思ったんだけど、気になってさ。楓音の家に来るまで、この丸印の病院を電車と徒歩で探してみたの。でも、走りすぎて何度も足がもつれて転んじゃって……結局、まだ見つけられてないんだ」
未弦は自分のスマホを取り出し、訪れた病院にバツ印をつけた画像を見せてきた。すでに訪れた病院はバツ印で記されていたが、丸印の病院はまだたくさん残っていた。未弦は、まるで行き詰ったように肩を落としている。
隣にいた未弦の両親も、同じように困り果てている様子だった。彼らの顔には、父親の心配や、どうしても解決できないという焦りが浮かんでいた。
私が秘密を打ち明けようとした瞬間にこんな展開になったけれど、だからこそ、未弦の本音を聞けたのかもしれない。