ひょっとすると、私には「人殺し」と非難されなくともに生きていける場所なんて、どこにもないのかもしれない。
そもそも、この世界を生きたいと思っているのだろうか。その問いに対する答えは明確だ――生きたくない。でも、自殺なんてしたら、人殺しの罪も隠蔽するために課された条件もすべて放棄するような気がして、それもできない。
だから私は、この刑務所のような世界で一人ぼっちで生き続けなければならない。
それでも死にたい、消えたいという気持ちは、何度も湧いてきた。もう、数えきれないほどだろう。
顔を上げずに階段を駆け上がる。幸い、人は少なく、3階の廊下からはかすかなざわめきが聞こえるだけだった。醜い自分の顔を誰にも見られないことに、少しだけ安堵を覚えた。
最上階にたどり着き、図書室に逃げ込む。本当は屋上に行って飛び降りたい気持ちもあったけれど、足が重くて動けない。引き戸を閉めると、力が抜けてその場に膝を抱え込んで座り込んだ。
非常用のハシゴが本棚に立てかけられている。でも、今の私にはそれに手を伸ばす気力すらない。
もし昼休みになったら、泉平くんや奏翔が来るかもしれない。それまでに逃げ出せればいい。今はただ、ここでじっとしていたい。
涙が滲みそうになり、歯を食いしばったが、抗うことはできなかった。普段、未弦には作り笑いを浮かべ、適当な言葉を並べて自然に距離を取っていたはずなのに、今はもう誰にも合わせる顔がない。特に父さんには。あのテストの結果を見られたら、私の世界は終わるだろう。
ふと、過去の記憶が頭をよぎる。肩を強く押して、妊婦の母さんが倒れる瞬間。そして、近づいてくるトラックの音が耳に残る。
取り返しのつかないことをしてしまった。警察に捕まってもおかしくないような罪。それはただの八つ当たりだったけれど「人殺し」と非難されても仕方がない。私は最低の人間だ。
そもそも、この世界を生きたいと思っているのだろうか。その問いに対する答えは明確だ――生きたくない。でも、自殺なんてしたら、人殺しの罪も隠蔽するために課された条件もすべて放棄するような気がして、それもできない。
だから私は、この刑務所のような世界で一人ぼっちで生き続けなければならない。
それでも死にたい、消えたいという気持ちは、何度も湧いてきた。もう、数えきれないほどだろう。
顔を上げずに階段を駆け上がる。幸い、人は少なく、3階の廊下からはかすかなざわめきが聞こえるだけだった。醜い自分の顔を誰にも見られないことに、少しだけ安堵を覚えた。
最上階にたどり着き、図書室に逃げ込む。本当は屋上に行って飛び降りたい気持ちもあったけれど、足が重くて動けない。引き戸を閉めると、力が抜けてその場に膝を抱え込んで座り込んだ。
非常用のハシゴが本棚に立てかけられている。でも、今の私にはそれに手を伸ばす気力すらない。
もし昼休みになったら、泉平くんや奏翔が来るかもしれない。それまでに逃げ出せればいい。今はただ、ここでじっとしていたい。
涙が滲みそうになり、歯を食いしばったが、抗うことはできなかった。普段、未弦には作り笑いを浮かべ、適当な言葉を並べて自然に距離を取っていたはずなのに、今はもう誰にも合わせる顔がない。特に父さんには。あのテストの結果を見られたら、私の世界は終わるだろう。
ふと、過去の記憶が頭をよぎる。肩を強く押して、妊婦の母さんが倒れる瞬間。そして、近づいてくるトラックの音が耳に残る。
取り返しのつかないことをしてしまった。警察に捕まってもおかしくないような罪。それはただの八つ当たりだったけれど「人殺し」と非難されても仕方がない。私は最低の人間だ。