それよりも……。
「あの……部員って」
「あたしたち、吹奏楽部なの!ここはいつも楽采とあたしが練習してる場所よ〜。まあ、本人はこっちをそっちのけで本を読んでることが多いけどね。もしかして、あなた、知らずに来ちゃった?」
女子生徒は語尾に音符でもついてきそうな勢いで楽しげに問いかけてきた。
「あ、はい」
まさか部活動の場所だとは知らなかった。じゃあ、なぜ奏翔は私をここに呼んだのだろう?彼女たちの邪魔になるはずなのに。
「す、すいません。すぐ出ていきます」
慌てて席を立ち、本を戻そうとする。
「待って!せっかくだから入部してよ。あたしは3年生部長の三羽萌響だよ、よろしくね〜!」
その途端、肩を軽く押さえられ、無理やり自己紹介をされた。
「僕は1年の泉平楽采。部員は5人だし、ひとり中学生いるけど気軽に入部して」
男子生徒も続けて自己紹介をしてくる。どうやら退散は許されそうにないようだ。
「あ……見学だけしていきます」
ため息をつき、仕方なくそう答えた。彼らの強引さには逆らえそうにない。
「じゃあ、あたし顧問の先生呼んでくるね〜!入部届も持ってくるから、ちょっと待っててね!」
三羽先輩は張り切って図書室を出ていこうとする。泉平くんも「行ってこい」と私の言葉を完全に無視している。これは無理やり入部させられそうだ。まだ見学もしていないのに。
「また、勝手に入らせようとしてるだろ?」
その時、救いの声が。引き戸の音と共に現れたのは奏翔だった。濃い琥珀色の目で泉平くんたちを睨んでいる。
「無理やり勧誘なんかしてないよね?楽采」
「おう、してないしてない」
彼らは焦りながらも誤魔化そうとしている。どんな部活であれ、入部する気はないけど、この部は特に騒がしそうだ。
「いや、してるだろ?しらばっくれるな」
奏翔はため息をつきながら言い、私に話しかけてくる。
「ごめんな、あいつらバカップルだからさ。ここに呼ぶべきじゃなかったかも……でも、他にいい場所が思いつかなくて」
「いえ……」
彼が申し訳なさそうに肩をすくめていたので、気にしていないと微笑んでみせた。
「あの……部員って」
「あたしたち、吹奏楽部なの!ここはいつも楽采とあたしが練習してる場所よ〜。まあ、本人はこっちをそっちのけで本を読んでることが多いけどね。もしかして、あなた、知らずに来ちゃった?」
女子生徒は語尾に音符でもついてきそうな勢いで楽しげに問いかけてきた。
「あ、はい」
まさか部活動の場所だとは知らなかった。じゃあ、なぜ奏翔は私をここに呼んだのだろう?彼女たちの邪魔になるはずなのに。
「す、すいません。すぐ出ていきます」
慌てて席を立ち、本を戻そうとする。
「待って!せっかくだから入部してよ。あたしは3年生部長の三羽萌響だよ、よろしくね〜!」
その途端、肩を軽く押さえられ、無理やり自己紹介をされた。
「僕は1年の泉平楽采。部員は5人だし、ひとり中学生いるけど気軽に入部して」
男子生徒も続けて自己紹介をしてくる。どうやら退散は許されそうにないようだ。
「あ……見学だけしていきます」
ため息をつき、仕方なくそう答えた。彼らの強引さには逆らえそうにない。
「じゃあ、あたし顧問の先生呼んでくるね〜!入部届も持ってくるから、ちょっと待っててね!」
三羽先輩は張り切って図書室を出ていこうとする。泉平くんも「行ってこい」と私の言葉を完全に無視している。これは無理やり入部させられそうだ。まだ見学もしていないのに。
「また、勝手に入らせようとしてるだろ?」
その時、救いの声が。引き戸の音と共に現れたのは奏翔だった。濃い琥珀色の目で泉平くんたちを睨んでいる。
「無理やり勧誘なんかしてないよね?楽采」
「おう、してないしてない」
彼らは焦りながらも誤魔化そうとしている。どんな部活であれ、入部する気はないけど、この部は特に騒がしそうだ。
「いや、してるだろ?しらばっくれるな」
奏翔はため息をつきながら言い、私に話しかけてくる。
「ごめんな、あいつらバカップルだからさ。ここに呼ぶべきじゃなかったかも……でも、他にいい場所が思いつかなくて」
「いえ……」
彼が申し訳なさそうに肩をすくめていたので、気にしていないと微笑んでみせた。