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辞めるのが決まってしまえば、早かった。
退職日が三週間後に決まり、私の仕事はお局に気に入られていた女の子に引き継ぐことに。
この子も、私と同じように餌食にならないと良いけど。
声はかけなかったけど、そう願って引き継ぎを続けた。
「誠さん!退職、決まりました!」
「おぉ、思ったより早かったね。でも良かった」
「もっと止められたり、ややこしいのかと思ってたんですけど、部長が軽く承諾してくれて」
「言うまでに勇気がいるからね。じゃあ一歩前進だ」
嬉しくて、一番に誠さんに報告したくて、走って帰ってきた。
報告も早口で、良かったねと言って欲しくて。
でも、誠さんはどこか上の空で、まだ何か気がかりなことがあるとでも良いそうな表情をしている。