その後は、いつものお局の調子に戻ったけど、あの一瞬が何だったのか、気になる。




「花井さん、ちょっと良いかな?この間から手伝ってもらってばっかりで申し訳ないんだけど、この書類を全部署に配らないといけなくて…」


「分かりました。お供します」


「助かるー!ごめんね」




この状況は、私が助かる。

部長と話すことができる、絶好の機会。


これを逃すわけにはいかない。



率先して立ち上がり、部長が持っていた分厚い資料を両手に抱えて、部長の隣に並んだ。


社内全体で来月行われるイベントの告知で、各部署に十部ずつ配り歩くらしい。