「次を探さないなら、理由が必要ですね」
「何の理由ですか?」
「今の職場の退職理由です」
「…一身上の都合ではだめですか?」
流れに乗ろうとしたけど、誠さんが頭を抱えて大きいため息をしたから、早速躓いたみたい。
「それは履歴書に書いたり、面接で言うことであって、会社を辞める時に使わないんです。そんなの、誰も辞めさせてくれませんよ?」
「そうなんですか…。私、何も知らないから」
「まぁ、大丈夫です。話を戻しますけど、体調不良なら診断書を出せと言われると思います。でもるいさんは、鬱でもないし適応障害でもない。ただ、いじめられて辛いから辞めたいだけ。体調は理由にならなさそうです」