「まずは、あの会社を辞めてみますか?」


「辞める!?そんな急にですか?」



どんな形であろうといずれは退職すると思っていたけど、もう辞める道を選ぶとは思わなかった。

辞める理由も見つからないのに、どうやって辞めたら良いのか分からない。




「はい、嫌なら辞めましょうよ。他にやりたいことがあるなら、それを理由にしてしまえば簡単だし、辞めても働く場所はすぐに探せます」


「やりたいことなんて、ないです。生活するために働いてるだけで、自分の好きなことを仕事になんて、綺麗事かと…」


「るいさんは堅い人だな…。楽しかったら、どうにかなるんですよ。もし好きなことをして生活できないなら、生活できるように副業すれば良い話です」


「副業…。好きなことのために自分の体を犠牲にしてまで…」


「じゃあ今のるいさんは、自分の体を犠牲にしてないって言えますか?」