机を挟んで伸ばしてきた手を握ると、ふわふわの髪をまた揺らしながら満面を笑みを向けられる。


出会って数十分の人を理解できるほど、臨機応変に動けない私は、頬を引き攣らせて笑みを返した。



千代鶴 誠と名乗った青年は、今の私と同じように、自分の意見が堂々と言えずに悩んでいたらしい。




「今はそんな風には見えないですけど」


「今はね。解放されると、人間って弾けるんですよ。あなたは?花井 るい。かな」


「…やっぱり出て行ってもらっても良いですか?それか警察に通報…」


「ごめんごめん!人間にしてもらう前に、聞いたんです。だから知ってるだけ」