「悩みを誰かに話して解決策を教えてもらうことは、他人任せじゃないですよ?」
「え?」
呆れられたため息と勘違いした。
私に向かってくるため息は、今まで全部呆れか見下しだったから。
首が取れる勢いで、向いたそっぽを取り消す。
「一人で抱えるのも考える力がついて良いかもしれないですけど、頭が固くなって良いことを考えなくなることが多いので、アドバイスをもらうと解決の選択肢が増えます」
「選択肢…。でも私の問題に誰かを巻き込むのは、気が引けます」
「迷惑だと?巻き込んで良いんですよ。頼って良いんです。誰かに頼られると人は存在価値を見出せて、欲求が満たされて幸せを感じます」
青年の言う通り、上司に頼まれた仕事をこなして、自分の期待以上に上司が喜んでくれた時、澱んだ心が救われた。
次は私が救う立場に立つ。こんな私でもできるだろうか。