翌日、檜葉さんにファッション専門用語の件を相談してみた。
「その企画は私が預かるわ。何人か適任がいるから任せてみる」
「ありがとう、お願いするね」
彼女率いるテーブルクロス班は買い出しを終え、放課後の家庭科室で縫製作業に入っている。檜葉さんのリーダーシップのおかげでかなり順調だ。
「それはそうと、安麻田くんって中学の頃から身長体重変わってない?」
「え、うん。今とほとんど変わらないけど」
「前に話した服の件。もし残っていれば学生服を借りたいのだけれど」
学生服ならば男女でデザインか違うから一目瞭然。文化祭は秋だから、詰襟の学ランを着ていても暑くはないだろう。
「分かった。じゃあ今週中に持ってくるから試着してもらって、問題なければそのまま貸し出すってことでいい?」
「助かるわ、ありがとう」
「こっちも助けてもらってるから」
クラス全員が衣装の確保できたか文化祭の数日前に最終確認を取る。他の班の作業も順調。あとは食材を当日朝に配達してもらえるよう業者と打ち合わせをするくらい。
「看板のデザインできたぞ」
「うわあ、お店みたい! すごいね」
進行状況をチェックしながら、土佐辺くんと笑い合う。この立場になって、初めてクラスの輪に入れた気がした。単なる傍観者だった僕が、こんな風にみんなと話せるようになれたのは土佐辺くんのおかげだ。